Longueur d’Ondesより“Tokyo Sessions”レビュー

2014年、モントリオール出身の素晴らしいバンドの出現を逃した人たちは、セッションに追いつかないといけません!このTokyo Sessions(バンド公式サイトでのみ入手可能)は、2015年にリリースされたアルバム『Between Illness and Migration』のデラックスバージョン(16曲入り)です。人々の記憶に残るようなアルバムですよ!激しく燃えるようなリズムに導かれ、メロディーと言語(時にフランス語も登場)が互いに呼応する、嵐の中心、飽和的ギターのトルネードのど真ん中へとリスナーを連れていってくれます。作詞が先をいくかのように道を切り開き、作曲が未知なる世界へと私たちを導きます。激しく、盛り上がるこの作品は、At the Drive-Inの解散以来、なかなか見ない高みに到達しています。とても深く、濃い、素晴らしいまでに内在する緊張感によって心動かされるアルバムです。

オススメ:“1-2-3”, “Empire of sorrows”, “Anyone”

RÉGIS GAUDIN

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Louder Than War: 本日の新鋭アーティスト

本日の新鋭アーティスト:Your Favorite Enemies


カナダのラジオと仲の良い、90年代のシューゲイザーにインスピレーションを受けたYour Favorite Enemiesが、
新しいEPをリリースした – 彼らが今回紹介する新鋭アーティストだ。

さて、まず彼らはカナディアンバンドだ。Favoriteの “u” はどこにある??Favouriteの “u” が抜けてるじゃないか!どこに消えたんだ、ちくしょー!

次に、彼らのEP「Youthful Dreams of an Old Empire」が送られて来たとき、実際に届いたのはStabbing Westwardのアルバムだったと思う。そう、今から20年前を遡ったんだ。それが何かって言うと、当時僕はStabbing Westwardが好きで、そして言うべきは、心の奥ではこのバンドの新しいEPが気に入ったということだ。ノスタルジア?そうかもしれない。でも我々は今、あの“時代”の音楽の復興を見ているような気がする。多くのバンドがシューゲイザーや、90年代のサウンドを復活させている。

Your Favorite Enemies(“u”なしで)は、スタイルがにじみ出ている!彼らはクールだ。彼らはクールなビデオを作っている。ヘアスタイルも素晴らしい。彼らは見た目も美しい。どうしたら照明の良いライブを行えるかを知っている。そしてその中でも、しっかりとした音楽と、十分な才能があることは疑うまでもない。現在彼らのシングルとなっている「A View from Within」は、とてもスタイリッシュで、恐ろしくダークで、更に魅力的であり楽しめるものだ。

これはまさに良くプロデュースされ、様々な要素が巧みに包み込まれたバンドだ。彼らが十分に興味深いのはもちろんだが、彼らの過去の音楽を聴いたあと、私にとってはこの新しいEPに収録されている曲が私のお気に入りだと言える。時折ある激しいギターは最高で、私は本当に大好きだ。歌は素晴らしいとまではいかないものの、しっかりしている。そして時に、彼らはダークで、ほとんどインダストリアルに近い良いサウンドをしている。他のものは少し味気なく、必要以上にラジオ向けだが、世界中のラジオプログラマーに露骨にアピールするようなものではない、ダークで良いものがある。

もしも私がこのバンドの味方について、別のカナディアンバンドに対抗するとしたら、ニッケルバックだろう。いやぁ、彼らはかなり先をいっている。私が彼らと比べた理由は、ニッケルバックが90年代を再燃させたバンドであり、受け入れ難いほどにそれを味気なくて酷いものにしたからだ。Your Favorite Enemiesは、過ぎ去った時代の再燃でも、まだ面白いサウンドや曲を作り出すことが出来ている。更に、このサウンドの最初の波が来てから20年後にもかかわらず、2013年に地に足をつけられるだけ十分、彼ら自身のユニークなものにすることができている。だからニッケルバックに言いたい。君たち、これこそが本物だ。

私たちにとっては新しいが(だからこそこれが本日の新鋭アーティストなんだ)、バンドの活動は2006年から始まり、彼らの名声を主張するメインの事実はファイナルファンタジーのゲームシリーズに彼らの楽曲が使われたことだ。バンドはケベック出身で、過去のリリースや現在でもフランス語の歌詞が出てくる。リードシンガーであるアレックス・フォスターのフレンチカナディアンアクセントは「Empire of Sorrows」の曲で、歌うことに対抗するかのように歌詞を暗唱する時に、多く見られる。他のバンドメンバーは、ジェフ・ボーリューとセフ(ギター)、ベン・レムリン(ベース)、ミス・イザベル(ボーカル&キーボード)、そしてドラムスのチャールズ・“ムース”・アリッシー(これぞカナディアンのニックネームだ)である。また、バンドは自身のレーベルHopeful Tragedy Recordsも運営していることを知らせておくべきだろう。

彼らはチェックする価値のあるしっかりとしたバンドだ。特に、Silversun Pickups, HIM, Funeral PartyやEconoline CrushもしくはMoistなどの過去のカナディアンバンドを聴いて来た人ならなおさら。彼らは聴きやすいサウンドを持っていると言えば、手が出しやすいだろうか?これらのバンドは私が好んで聴いて来たバンドであり、今も好きなバンドだ。だから、そう、私はこのバンドが好きだと言うべきだろうな。でも願わくば、Favoriteに“u” を入れて欲しい。まぁこれがカナダ流なんだろうけれど!

Your Favorite Enemiesを彼らのオフィシャルウェブサイトFacebookにてチェックして欲しい。YouTubeでは彼らの’Bla Bla Bla’と呼ばれるオンラインショーが英語とフランス語で見ることができる。

Words by Chris Hearn

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Youthful Dreams – Review from Sound Revolution

Your Favorite Enemiesが新しいEPをリリース

Your Favorite Enemiesは相反する語が共に並んだタイトルの新しいEP『Youthful Dreams Of An Old Empire』を制作した。モントリオールに基盤を置くカナディアンたちは、彼らのDIY精神を表現した音楽で、オルタナティブノイズロックのブランドのアピールを目指している。この精神により独自レーベルを設立し、教会をスタジオへと変貌させた。リードトラックの「A View From Within」は、Your Favorite Enemiesのフロントマンであるアレックス・フォスターの詩的なサビとハラハラするようなリフの絡みを見せ、そのミュージックビデオは退廃的、陶酔的なオリエンタルのナイトライフを描き出している。『Youthful Dreams Of An Old Empire』は7月8日、バンドのレーベルHopeful Tragedy Recordsよりリリースされる。以下、「A View From Within」のビデオを見てほしい:

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Youthful Dreams – レビュー – With Guitars

『Youthful Dreams of an Old Empire』はモントリオール出身の6人組バンドYour Favorite EnemiesのデビューEPである。EPは、オルタナティブ、シューゲイザー、そして暗めなノイズロックをブレンドした彼らのサウンドを知る十分な手がかりを表している。バンドメンバーはボーカルのアレックス・フォスター、ジェフ・ボーリュー(ギター)、セフ(ギター)、ベン・レメリン(ベース)、ミス・イザベル(ボーカル&キーボード)とチャールズ・“ムース”・アリッシー(ドラム)。彼らは激しい人権擁護者であり、バンドの基礎を築き上げたオールドスクールなDIY精神に献身し続けている。それにより、自身のレーベルHopeful Tragedy Recordsを設立し、更にはカトリック教会を自身のレコーディングスタジオへと改装した。もうすぐ発売される「Youthful Dreams of an Old Empire」を含む彼らの作品は全てここでレコーディングされている。

気まぐれではなく、バンドはこのデビューリリースを強く望んでいたのだ。彼らはリードトラックだけをリリースするしようとは思っていなかった。だが、トラックナンバー1の「A View From Within」の4分20秒に及ぶ’日陰’での放浪は、サウンドをより深い水の中へと掻き立てるようなヘヴィーなトーンの流れによって、それでもまだユーザーフレンドリーであり、ライブ向きの曲、多くの人に好まれ、好評を得るであろうことが想像できる。魅力的なハイブリッドサウンドは良く認められるだろう。

事前に一つだけ「Empire of Sorrows」について言うとしたら、アレックス・フォスターが歌う“In the darkness of my own”という旋律が反響し、愛は多くの輝きを持っていることを思い出させる。これもまた巧みに作られた曲だ。「Satsuki Yami」はシングルを終わりへと運ぶ、陰気なギターメインの曲だ。都市芸術の断片のような、締めくくりを示唆している。

Your Favorite Enemiesはムードが高まるギターレイヤーを、効果的で強力なリードリフの上に結びつけている。それは“内省的”なボーカルに加えられ、全てのエフェクトは主に賛同でき、デビューシングルはバンドの約束された未来を示唆している。Your Favorite Enemiesにこれ以上の痛みがないことを願うが、それは注目せずにはいられないような曲を作るかもしれない。だか代償は重いだろう。最近の心理療法が高くつくように!強烈なデビューだ。

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Review: Youthful Dreams Of An Old Empire

「Youthful Dreams of an Old Empire」はモントリオール出身の6人組バンドYour Favorite Enemiesの素晴らしいデビューEPである。このEPは、The RaveonettesやCrocodilesを連想させる、オルタナティブ、シューゲイザー、ニュープログや暗めなノイズロックがブレンドされた音と、The Clash, The RamonesやThe Cureのようなバンドに影響を受けた歌詞を見せている。

バンドはボーカルのアレックス・フォスター、ジェフ・ボーリュー(ギター)、セフ(ギター)、ベン・レメリン(ベース)、ミス・イザベル(ボーカル&キーボード)そしてチャールズ・“ムース”・アリッシー(ドラム)によって構成されている。彼らは激しい人権擁護者であり、バンドの基礎を築き上げたオールドスクールなDIY精神に献身し続けている。それにより、自身のレーベルHopeful Tragedy Recordsを設立し、更にはカトリック教会を自身のレコーディングスタジオへと改装した。「Youthful Dreams of an Old Empire」を含む彼らの作品は全てここでレコーディングされている。

パワフルなリフと、フロントマンであるアレックスの内省的な歌詞との強いハーモニーにより、ユニークに融合したYour Favorite Enemiesの音の質感は、独特な社会的良心と象徴主義的なアプローチを見せている。

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Review: Paris, May 24 2013

ライブレポート:Your Favorite Enemies + September Boy @ Saint-Ouen, Les Mains D’Oeuvres, 24/05/2013

今夜サン=トゥアンで行われたライブは、少数ではあったものの人々が長年待ち望んでいたものだった。実際、観客は6年振りのYour Favorite Enemiesの来仏を歓迎していた。Final Fantasy (Dissidia)のオリジナルサウンドトラックに参加して、シングル「Open Your Eyes」をリリースしたこのバンドを知っている人も多いのではないだろうか?今もバンドをフォローしている数人のパリジャンたちがその夜来ていた。こうして、このめざましいバンドに正しく敬意を払っていることに、私はとても驚かされた…

Your Favorite Enemies

ようやく、長年待ち望んだフレンチ・カナディアンたちがステージに上がる時間がきた!このコンサートで、彼らのアルバム『Between Illness And Migration』から数曲を聴くチャンスを得た者もいただろう。現在このアルバムは日本でしか発売されていなが、この秋にフランスでも発売される予定だ。どこからか漏れたアルバムをインターネットでダウンロードした一部のネットユーザーや、もしくは日本からの送料や手数料を恐れない勇気ある者たちは、このアルバムの驚嘆するような内容を既に知っていた。前作のEPとは劇的に変化を遂げたアルバム…その変化はVague Souvenirの時からもう始まっていたが、今回のアルバムの内容はライブでプレイしたときにこそその真髄が発揮される…

バンドの強みの一つに、まず人々との親密さがあげられる。ミュージシャンとファンとの関係を強固にする繋がり、そして彼らのコミュニケーション能力。バンドがステージにいる喜びや、曲から湧き上がる感情のチャージによって、全ての人々とコミュニケーションをとることができる。今夜の息を飲むような美しさや感動によって、彼らはそれを証明した。今夜1曲目にプレイした「Satsuki Yami」はニューアルバムのイントロだ。ヘヴィーで雰囲気のある曲…それがライブにもなると、ギターの音が完全にコントロール不可能な異なるものになる。今夜我々を待ち受けるものへの序章であるかのだった。2曲目は「Empire Of Sorrows」…アルバムの世界をフランスの大衆に見事に紹介した曲の一つだ。そして何たるノックダウンだろうか…語りから始まるこの曲は、Jordan Dreyer (La Dispute)を思い出さずにはいられないが、より低いトーンである。バンドはエネルギーに溢れていて、フロントマンは間違いなくカリスマ的な要素を持ち合わせ、ライブハウス全体を魅了した。彼の歌はスタジオと同じくらい上手く、それだけではない…彼の語りかける言葉はよりアグレッシブに唱えられおり、彼の歌声は時にまるで遠吠えのようにもなった(Birds In RowのBartが、声の限界を越えた時のような声すら連想させた)そのようにして魔法が唱えられ、まるで全員がまじないにかかったようだった。ライブ全体を通して曲には同じラインがあることに気付く。舞い上がるようなオルタナティブロックの中に、ポストパンクの一節や、シューゲイザーのサウンド、そしてバンド初期の頃からある永遠のエモの雰囲気の中で揺れている。自分を納得させるにはただ「Where Did We Lose Each Other」を聴けば良い。今夜3曲目にプレイされた曲で、特にコーラス部分はThriceに似たサウンドを持っている。

バンドは前作EPからのヒットを披露することも忘れなかった。(「Open Your Eyes」、「Little Sister」、「Midnight’s Crashing」)彼らがまだSenses FailやThursdayのようなサウンドだった頃の曲たちだ。観客は歓声をあげ、大いに喜んだ。主にカバーソングが多く収録されているアルバム『Vague Souvenir』より、観客のためにバンドがプレイしたNoir Désirのカバーソング「Des Armes」は、激しさが増していた。特にアレックスの感情的でたゆまぬ歌声は、しばしば“ボーダーライン”にまで達した。バンドは彼ら自身に忠実で、ファンとのコミュニケーションをいかに大事にしているかは明らかであり、それはライブの最後まで続いた。ライブが終わろうとしていた曲の最中に、バンドメンバーはドラムをピースごとに観客の中へと運び、ファン数名にドラムを叩くように促したのだ。(私自身も含めて。その後1日腕が使い物にならなかった)ピットでギタリストとベーシストがユニゾンでプレイした。パワフルなサウンド、感情的で雰囲気たっぷりに魅了した時間が終わった後、目を輝かせたファンたちの喜びは極限に達した。そう、まだ終わりではなかったのだ。ベンとアレックスが3曲のアコースティックソングを披露してくれた。オーディエンスたちも彼らと共に歌っていた。遍在する親密さの中で、彼らはサービス精神に満ちあふれていた。

これまで多くのコンサートに参加して来たが、この日のライブは私が参加してきたコンサートの中で真に最も美しいものだった。激しさと、現在においては稀な音楽への関わり、真実で誠実な人としての温かさ、音楽的にも完璧なライブだった。更に、我々は彼らの曲を再発見できたのだ、以前よりもっとパワーとヘヴィーな要素が増したパフォーマンスだった。このバンドは本当に一見の価値ありだ。多くの賞やツアーなどの成功に関わらず、情熱に溢れ、誠実で、彼らのオーディエンスとの距離はこれからもずっと近いだろう。多くの観客であろうと一人のファンであろうと、どんな小さなリアクションにも子供のように喜ぶバンドだ。次回も大いに期待したい!

セットリスト :

Satsuki Yami
Empire Of Sorrows
Where Did We Lose Each Other
A View From Within
Midnight’s Crashing
City On Fire
Des Armes
From The City To The Ocean
Little Sister
Open Your Eyes
I Just Want To Know You
Would You Believe
Voice Inside

YFE Franceのジュリエットにも大変感謝している!

Guillaume D.

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Review: Liverpool, May 20, 2013

その後は長髪で髭を生やしたカナディアンたちの時間だった。ビデオでは髪がもっと短く見えたから、私はこのバンドに気がつかなかった。今では全く正反対の、Your Favorite Enemiesの時間だ。小さなステージに6人のメンバーがキツキツに立ち、ドラマーはTシャツを忘れたのだろう、彼の胸全体に描かれたムース(大鹿)のタトゥーを露にしていた。最初の曲は轟くような音で、シンガーが“I grew up in a storm”(僕は嵐の中で育った)と唱えながら始まった。ギタリストは床に広がった彼のエフェクトペダルで背骨がうずくような音を出していた。2人のギタリストが奏でる素晴らしいギターラインの交わりは、聴いていて最高に楽しかった。多少イラっとしたのは、バンドではなく、カメラを持ってメンバーの顔を撮ろうとライブ中ほぼずっとステージ前に“取り巻いて”ブロックしていた3人の男(女)だ。

彼らの爆音的サウンドはライブハウスThe Holdの裂け目までとどろいた。シンガーがジョークを飛ばす-“僕らはカナダのモントリオールから来たんだ。ちょっとしたフレンチ・カナディアン文化や、長髪や髭や、うるさいノイズを持って来たよ!” 彼はまさに的を射ていた。彼は背後で鳴り響く爆音によって強化された、素晴らしい声を持っていた。どのメンバーもライブを楽しんでいるようで、見ていて喜ばしかった。ライブが続くにつれてオーディエンスの視界を妨げるカメラが増えたようだったが、最後の曲でシンガーは、彼らをすり抜ける道をみつけ、一人の少女にセレナーデのごとく歌うことができた。予期していなかった状況に、彼女はものすごく喜んでいたようだった。ライブの終わりを告げるアトモスフェリックなサインで、バンドがオーディエンスを沸き立たせる中、彼はステージ上へと戻っていった。メンバーがステージ袖へと入っていくとき、会場は大きな喝采で溢れていた。そして、ライブはまさにその大喝采に値するものだったと言えよう!

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激ロックマガジン レビュー

枚挙にいとまがない親日家のミュージシャン。彼ら彼女たちが日本という決して近いとは言えない国に興味を持つきっかけは、日本人の国民性だったり、美術だったり、アニメだったり、ファッションだったり、ゲームだったりとそれぞれに違うわけだが、カナダの6人組、YOUR FAVORITE ENEMIES(以下YFE)のフロントマン、Alex Foster(Vo)は16歳から35歳までの自殺率が先進国で1番高いというショッキングな事実から日本という国に興味を持ったという。“何とかしなければ”とAlexはその時、思ったそうだ。

国際的な人権擁護団体として知られるアムネスティ・インターナショナルのスポークスパーソンという社会活動家の顔も持つAlexにとって、遠い外国の問題とは言え、それは絶対に見過ごせないことだったに違いない。

2008年、同郷の人気ポップ・パンク・バンド、SIMPLE PLANの来日ツアーにサポート・バンドとして帯同したYFEはその後も日本と関わり続け、2011年3月11日に東日本大震災が起きると、はるばる日本にやってきて、被災者の支援やライヴを行ったそうだ。

そんな彼らにとって、日本でアルバムをリリースすることは長年の念願だったにちがいない。それがこの3月、ついに実現する。すでに熱心なファンがここ日本にもいる彼らではあるが、今一度、そのプロフィールを振り返っておきたい。

2006年にモントリオールで活動を開始したYFEは紅一点メンバー、Miss Isabel(Key)を含む6人組。翌2007年、DIY(Do it yourself)を掲げる彼らは自主レーベル、Hopeful TRAGEDYを立ち上げ、1st EPをリリース。精力的にライヴ活動を行う一方、コミュニケーションのツールとしてネットを最大限に使い、ネット配信の動画チャンネル「YFE-TV」をスタートさせるほか、草の根的プロモーションを展開。ファンによるストリート・チームの協力の下、カナダ国内のみならず、世界各国にファン・ベースを作っていったという。

そして2008年、1stアルバム『Love Is A Promise Whispering Goodbye』をリリースした彼らは同年、石元丈晴による『Dissidia Final Fantasy』のオリジナル・サウンドトラック・アルバムに「Cosmos」と「Chaos」の2曲を提供。同シリーズに参加した初の海外アーティストとして話題になった。

今回、彼らがリリースする『Between Illness And Migration』は昨年8月にリリースした『Vague Souvenir』以来となる3作目のフルレングス・アルバム。社会活動家の顔も持つフロントマンが率いるロック・バンドという情報から、どれだけ熱いロックと思いきや、これがなんとダークかつクールなオルタナ・ギター・ロックなんだから驚かされる。歌うと言うよりも語るように言葉を投げかけるAlexのヴォーカルにMiss Isabelのアンニュイな歌声が絡むTrack.1「Empire Of Sorrows」なんてまるで『Goo』の頃のSONIC YOUTHみたいだ。

とは言え、デジタル・ビートを使った「A View From Within」(日本人女性によるナレーションが入る)、サイケデリック・ロックあるいはハード・ロックにも聴こえる「Underneath A Stretching Skyline」「Muet Aux Temps Des Amours」、エモーショナルなロックの「Where Did We Lose Each Other」、轟音ギターをかき鳴らす「One Step Away」、ピアノとアコースティック・ギターを使ったバラードの「Little Sister」といった多彩な曲からは、そんな一言では語りきれないバックグラウンドが窺える。因みに海外ではPIXIES、NIRVANA、PLACEBO、U2、RADIOHEADからの影響が指摘されている。圧巻は11分におよぶ「From The City To The Ocean」。シンプルなリフレインを軸にした演奏が疾走感を失うことなく、じわじわと盛り上がるさまはあまりにもスリリング。バンドの実力を物語るクールな熱演だ。

満を持しての日本デビュー。どこかミステリアスなところも感じさせるその世界観はさらに多くのファンを虜にするに違いない。日本盤にはボーナス・トラックが2曲追加されるそうだ。

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